東京都のコロナ感染者数が4時45分に発表されるということを知ってから、news every.を4時40分から10分だけ見ることが毎日のささやかな楽しみになっている。

8月は数字がどんどん膨らんで、新生児が助からなかったり自宅療養のおじいさんが気づいた時には亡くなっていたり、とにかく暗いニュースが多くてみんな怒っていた。

 

同居する家族もずっとコロナの感染者数の話をするし、本当に気が滅入った。いくら人数が増えたって減ったって、私たちが対策できることは今まで通り手洗い消毒マスク三密回避しかない。ワクチンの接種率や感染者数のスポット数値を見たって分析をしないのでは、また妊婦のためのワクチン情報を教えてくれたり、不安な気持ちに寄り添ってくれたり、優先接種してもらえるクリニックやツテを探してくれたりしないということであれば、口を紡いで欲しいと何度も思った。ただ数値が毎日更新されるという事実に毎日圧倒され、そして大きな声で文句を言い、感嘆し、噂レベルの「もうあの病院は満床だって」を毎日聞かされる。

知らせないでほしかった。ひたすら不安を煽るのはやめてほしいとずっと感じていた。

8月、もしこの県で妊娠中にコロナにかかった場合どうなるのかをすごく調べた。よくわからなかった。周産期センターにたらい回しにされ、陣痛に一人で耐えながら自宅で産み落とし、まだ温かく息をする我が子を自分の腕の中で看取る覚悟をしなければならないのかもしれない、ということがわかった。死産届と火葬も調べてみて、喉が詰まるような感覚に襲われて、苦しくなってPCを閉じた。

とにかく今できる備えを、と思い、泣きながらエンディングノートを書いた。死んだときにもらえる助成金や必要な手続き、保険、銀行口座の預金などの情報をもろもろA4コピー用紙にまとめた。出産準備のはずがどうして私は死んだ時の準備を整えているのだろう、こんなことしたくないのに、どうして、どうしてとずっと苦しかった。何にも楽しいことのない夏だった。

8月は、9月は、本当に苦しかった。

だから感染者数が減っていることを窺い知れるのはとても嬉しい。怒る人が減るから。不安な人、忙しい人が減るから。みんなが楽しく笑って暮らせる日々を願っている。